フィリピン, ミンダナオ島で学ぶ - JGSWeekly #12

Q1.自己紹介をお願いします。

フィリピンのミンダナオ島にあるキャピトル大学に通う須田 賢太と申します。専攻は文学部です。制度上、選べる専攻はこの学部一択でしたが、経済やホセ・リサールの授業など自由にとっていました。

Q2. なぜその国、その大学を選ばれたのですか。

正直、国にこだわりはありませんでした。途上国に興味があったというよりは、刺激を求めて日本と正反対の環境という意味で、途上国を選びました。日本で在籍している大学ではフィリピン留学がとてもポピュラーなので、身近な留学先というイメージをもっていましたね。キャピトル大学を選ぶきっかけとなったのは、留学のことを相談した先輩からキャピトル大学の創立者の話を聞いたことです。創立者についての文献を読んでみると、この創立者は第2次大戦中、約2万人が犠牲になった日本軍による「バターン死の行進」の生存者でした。 この経験をきっかけに「世界から争いをなくすには教育しかない!」と決意して大学を設立したと書かれていました。単純に感動しました!ご子息である学長夫妻がその精神を受け継いでいると聞いて、率直にこの大学で学びたいと思い、即決しました。

Q3. フィリピンの大学生活について、日本の大学と異なっている点などありましたか。

フィリピンの大学生全般に言えることかはわかりませんが、勉強に全力!というより、家族、友達、趣味に時間を使って、時間が余ったら勉強、という人が多かったです。授業の空き時間には必ずと言っていいほど大学の食堂でおしゃべり。授業が終わると毎日ショッピングモールをウロウロします。けど何も買いません笑。遊びはとにかくお金をかけないで友達といる時間をひたすら楽しむという感じでした。クラスでは40人中18人が女子、21人がゲイ、男子が私一人だけということもありました。フィリピンにはゲイの人が多く、またそれを嫌がるような人は見たことがありません。また、フィリピン人は、多くの人が歩きながらセルフィーしたり、告白の仕方も弾き語りとかポエムを贈ったりなどは当たり前でロマンチストです。

Q4. キャピトル大学での学生生活の中で、印象に残った経験などありましたらお伺いしたいです。

キャピトル大学があるのは、ミンダナオ島のカガヤン・デ・オロというマニラから飛行機で1時間半の町です。ミンダナオといえばフィリピン政府と広範な自治権を求めるムスリム反政府組織が長年軍事衝突を繰り返しています。その影響でカガヤン・デ・オロにも日本人はほとんどいません。現地の殆どの学生にとって初めて見る日本人は私でした。だから私の周りにはいつも人がたくさん集まってきて、正直、人気者気分でした笑。(校門をくぐった瞬間からキャーキャー聞こえてくるくらいです笑。)そんな中、目が覚めるような思いをしたのはフィリピン史の授業中、トピックが日本軍のフィリピン侵攻に入ったときでした。クラスメイトは全員フィリピン人。日本人として申し訳なくなり思わず顔を下に向けていると、先生が「Kenta、これを学んで何を感じる?」と聞いてきたんです。申し訳ない気持ちはあるけど過去は変えられない。残酷な歴史も気にせずフィリピン人は日本人を慕ってくれている。私は正直に「過去は変えられないけど、現に僕はいまクラスメイトと凄く仲良くやっている。だから少なくとも未来は創れるし、この議論でネガティブなことは言いたくない。」と答えました。答えた瞬間、うわっちょっと傲慢な日本人だ、、と後悔しましたが、クラスメイトはすぐ拍手で賛同してくれました。

Q5. 他にはなく、フィリピンでしかできない経験をたくさんされているようですね、、今後この留学の経験をどのように活かしていきたいですか、また将来の夢などはありますか。

フィリピン人から学んだことは、どんな環境にも負けずに笑って幸せになる方法です。正直、留学中すごいことを学んだわけでもないですし、留学の経験を自分のキャリアに直接活かすことができるとは思いません。しかし、私は留学中会った人達のように、自分にとって一番大切な家族や友人を笑顔にできる人になりたいです。今はただ、自分の仕事の結果を辿っていくと、カガヤンデオロの人達の幸せの一因になっているようなことをしたいと思っています。それがどんな仕事なのかはまだわからないし、運にも大きく左右されると思いますが、こんなことを考えて将来の選択をすることが今の僕にとって幸せです。

編集後記

みなさん、レポートいかがでしたでしょうか。フィリピンへ留学している日本人学生にお話しを伺うのは、編集者自身初めてで、とても興味深く、楽しくインタビューさせていただきました。フィリピン人学生の大学での過ごし方や普段の生活、歴史について議論する時の彼らの対応からフィリピン人の人となり、また須田さんが密に彼らと関わり合いながら留学生活を送っていらっしゃることが伝わってきますね。”将来は自分の学んだフィリピンの人々の幸せに繋がる仕事がしたい”、とてもかっこいいです。これからもJGSWeeklyでは、世界で学び、発見、経験をしている日本人学生をレポートしていきます。現地での生活、現地でしか得られない情報をどんどん共有していきましょう!以上、今週のJGSWeeklyでした。

Published: February 23 2015

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