南アフリカで学ぶ、働く。 - JGS Weekly #4
こんにちは。今週のJGS Weeklyは、 アフリカ大陸は南アフリカ共和国 から、デュトワ華さんがレポートしてくれます! さすがに、南アフリカに留学することを考えたことのある方、実際に留学した方などは相当希でしょう。しかし南アフリカ共和国はBRICS(以前はBRICs)の一角に数えられる(ようになった)新興国家であり、アジアマーケットとヨーロッパマーケとへの輸送路的中間地にあるため世界中の自動車メーカーや機械メーカーが工場拠点を抱える、アフリカ随一の経済拠点です。将来南アフリカで働く、南アフリカの人と共働することになる可能性はどんどん高まっていると言えます。 そこで今回のJESウィークリーでは、デュトワさんに現地の生活は、文化は、人々は、そして南アフリカ留学は如何様かを、お伺いしていきたいと思います!題して 【南アフリカで学ぶ、働く。】!
Q1.基本情報を教えてください。
―南アフリカ共和国のケープタウン大学に通う20歳で心理学を専攻しています。
Q2.どうして、南アフリカ共和国のケープタウン大学を選んだのですか?
―自分は南アフリカと日本とのハーフなので、私にとっては南アフリカも、日本も、両方「母国」です。学生時代のほとんどを日本で過ごしたため、私は南アフリカの学校にも通ってみたいという気持ちで 「アフリカ大陸のトップ校」 と言われているケープタウン大学を選びました。面白い理由や大きな思い入れがなくて少し申し訳ないです。笑
Q3.大丈夫です!笑 アフリカ大陸トップと聞くともの凄く入学が難しいように思えるのですが、どれくらいの難易度なのでしょうか?
―南アの大学は、高校2年生と3年生の時の成績と、National Benchmark Test (NBT)と呼ばれるテストの結果を送って入試します。基本的には英語と数学のみですが、音楽科や芸術科などの技術を要する学科を希望する人は、各大学でpractical examを受けなければいけない場合があります。また、南アではBlack Economic Empowerment(BEE)という国のプログラムに基づいて、 大学への入学を認めてもらえる人数が人種ごとに定められています。 アパルトヘイトの名残で貧富の差がまだ激しいので、要は白人よりも学校に恵まれる確率の低い黒人により大きなチャンスをあたえる、ということです。難易度としては、ケープタウン大学は高校の成績でdistinction(いわゆる「5」)を9つの科目の中で4つか5つとれていれば入れると思います。
Q4. BEEがとても現地特有の制度で面白いです。他国のようにキャンパスの多様性などではなく、社会的格差是正のためなのですね。 入学後の進路パス はどのようなものなのですか?
―基本的に3年制で、Bachelor’sというコースとなります。これをとったあと、日本などの大学では4年に当たるコースとしてHonour’sというのが1年あります。Honour’sはとらなくても就職はできますが、とっておいた方がいい、という印象はもちろんあります。ただHonour’s は各学科30人ほどしか入れないそうなので、こちらは超難関です。
Q5.学部を完全に卒業するのに難関があるのですね…!そこを出る黒人学生がどれだけいるか、というのが重要な気もします。ところで、 大学の国際性 はどのようなものでしょうか?
―留学生は結構います。特にアメリカ人が多く、南アに隣接する国から来た生徒も沢山います。そういうforeign studentsを受け入れるにあたっての制度がケープタウン大学では結構しっかりしています。例えば、一年の始めに大学で保険会社が受付所を設けて、大学のために南アに移住してきた生徒たちが健康保険の申請をできるようにします。また、海外にも姉妹校が沢山あるらしく、ケープタウン大学の生徒が留学をする機会もたくさんあります。
Q6.海外学生保険の手配は煩雑なのでそれはありがたいですね。ケープタウン大学の校風はどのようなものでしょうか。
—この階段はJammie Stepsといって、毎日たくさんの人がその階段に座っていてかなり通りにくい場所になっています。(この写真は多分土日に撮ったものと思われます。)
UCTといえば、Jammie Steps! というくらい有名な階段です。Jammie Plazaと呼ばれるプラザでは、毎週木曜日に何かしらのイベントが行われています。(Jammie Thursdaysと呼ばれる。)Lipton Ice Teaなどの会社がブースを開いたりして、告知的なものになっています。かなり賑やかです。
これはプラザで行われたイベントの一つの模様です。地元のバンド(結構有名)がエコ・ウィークの一環として演奏しに来てくれました。(これは、まだ準備中だったので、あまり人がまだ集まっていなかったときの写真ですね。)ただ、イベントがあろうとなかろうと、階段にはいつもあんな感じで人が座っています。
Q7.南アフリカに留学していて、何か特異な経験はなされましたか?
―日常会話で、面白いなと思う時が多いです。南アフリカは沢山の文化が一つに集まっているため、公用語が11カ国語あり、ほとんどの人は英語以外にもう1カ国語を話すことができます。そのため、現地の「スラング」も色んな表現や言葉が混ざり合ったような形になっています。例えば、「信号」は traffic light ではなく、robot (ロボット)と言います。また、 「友達」はchina(チャイナ)、スニーカーは takkies (タッキーズ) 、びっくりした時は sjoe(シュ)、痛いときはouch よりも eina (エイナ)、呆れたときはeish(エイシュ)など、様々な語源の単語が混ぜこぜになって使われています。英語だけでは表現しがたいことなどを、他の言語から借りて相手に伝えたりするので、個人的に、面白くて好きです。
Q8.「友達」がChinaというのは、昨今のアフリカ経済情勢とリンクしているようでとても面白いですね笑!最後になりますが、 英語以外の言語を喋れること はどれほど重要でしょうか?それは、例えば 観光 や 現地ビジネス を行う際どれほど助けになるでしょうか?
―みんな大体英語は話せるので、英語さえできれば苦労することは少ないと思います。ただ、他の言葉で話されるジョークなどについていけないことがよくあります。(笑) 小、中、高でも第二言語の授業があるのですが、地域によってよく使われる言葉の2つから選択できます。ケープタウンの高校では、アフリカーンス語とコサ語だと聞きました。元々バイリンガルな人は、学校や職場では英語で、もう1つの言語は家で、という使い分けをしている人が多いと思います。田舎の方ではまた状況が違うかもしれませんが、 少なくとも都心や観光ビジネスでは英語が一番よく使われています。 なので、仕事や留学で南アを訪れる人は英語さえできていれば全然大丈夫です。ちなみにビジネス関連の話としては、こちらでは1日の流れがとてもゆったりしています。ケープタウンの 帰宅通勤ラッシュは午後の4時から5時の間 です。 金曜日は3時 だったりすることもあります。
<編集後記>
デュトワさん、詳細で具体的なレポートありがとうございました。 南アフリカ共和国はアパルトヘイトの廃止以来世界中からの投資を受け入れ、経済規模が右肩上がりで成長している新興国です。2010年にはサッカーW杯も開かれました。ブブゼラが試合中鳴り止まないなど、現地特有の文化風習が印象的でした笑。21世紀という新たな時代において、南アフリカ共和国は絶対に見過ごせないグローバル経済の主役の一つになるでしょう。当記事を読んでくださった方々が少しでも南アフリカ共和国への理解を深めて頂ければ編者としては幸甚に耐えません。