オランダ最古国立大学ライデン大学でEU法を学ぶわけ - JGS Weekly #18
みなさん、こんにちは!今週のJGSWeeklyはオランダでは最も古い国立大学ライデン大学に交換留学されている山田広樹さんからのレポートです。アインシュタインや国際法の父グロチウスなどを輩出したこと、また法学部で有名なライデン大学で学ばれている山田さんに留学理由、きっかけ、現地生活についてお伺いしました。どうぞご覧ください!
Q1. 自己紹介をお願いいたします。
初めまして。大学の交換留学制度を利用して、オランダのライデン大学に留学している山田広樹(21歳)と申します。留学先での専攻はEU法で、EUが成し遂げた経済統合を法律的な観点から学んでいます。趣味はクラシック音楽の鑑賞とサッカーで、現在はオランダ人のサッカーチームに所属し活動をしています。
Q2. オランダ留学、EU法を学ぶとは珍しいですね…留学先、専攻として選ばれた理由をお伺いしたいです。
留学をしたいというのは高校生の頃から抱いていた夢でしたが、その留学先にオランダという国を選んだのは僕自身にとっても意外なことでした。なぜならば、当初留学の一番の目的は英語の習得だと考えていたので、帰国子女でもない僕にはアメリカかイギリスに留学することが一番の選択肢であると思っていたからです。しかし交換留学の考える過程で、語学の習得というよりも留学で培った経験を将来の自分にどのように結びつけるかということについて深く考えるようになりました。悩み抜いた結果、自分は留学先でEU法を学び、その知識を用いて日本の今後の貿易政策を通した経済発展に貢献したいという一つの目標にたどり着きました。その結果、EU法をはじめとし、ヨーロッパにおける国際法の研究では非常に有名なオランダのライデン大学に留学をすることを決意しました。
Q3. EU法にはもともと関心をもっていらっしゃったのですか?
最初は、EU法に興味があったわけではなく、日本とアジア諸国の経済統合について興味を抱いていました。しかしその中で、28カ国からなる大規模な域内市場を作り上げたEUの仕組みを、自分の専攻である法的な側面から学ぶことで、何か今後の日本の貿易政策に関する指針を得られるのではと考えるようになりました。
EU法を学んでいる理由は二つあります。一つ目に、現在世界で貿易ルールの統一化が目指される中でEUはアメリカ並んで世界でも大きな影響力を持つアクターであり、EU法を学ぶことは、世界的な貿易の自由化の潮流を把握することは非常に重要であるからです。しかしながら、日本でEU法を専攻科目として勉強する大学生は非常に少ないため、逆にその希少性を自分の強みに変えようと考えました。二つ目に、世界でも例のない高度な経済統合を可能にしたEU法を学ぶことは、アジア諸国と経済統合を模索する日本の貿易政策に関してなんらかのヒントを与えてくれるのではないかと考えたことのも理由の一つです。EUは高度な経済統合に成功し、多くの経済的利益を得ましたが、その反面、共通通貨政策や移民問題などを始め多くの課題に直面しています。そのようなEUをモデルケースとして、経済統合の利点・欠点を自分なりに分析してみようと考えました。
その希少性ゆえ、僕と同様の道を歩む日本人学生は少なく、正直不安な面もあります。しかし留学先でEU法を専攻している博士課程の友達や社会人の方から様々な話を聞くことを通して、漠然とですが自分の将来をイメージしています。
Q4. オランダで留学をしていて何か、現地特有の文化やそれを肌で感じた経験などありますか?
オランダというとこれといったイメージがつきにくいかもしれませんが、個人的に文化という点では、オランダは日本と対極にある国ではないかと考えています。多文化主義や男女平等といった考え方は社会に広く浸透しており、移民や同性愛者をはじめとして、異なるものを積極的受け入れ社会に取り込むことで、その多様性を発展の原動力にしている国であると言えます。実際、街を歩けば他のヨーロッパの国と比べて物乞いをする移民の人なども明らかに少ないですし、大学に行けば白人のオランダ人だけではなく、様々な人種のオランダ人に会えるのもその文化的背景が大きく影響していると考えます。 またオランダ人の国民性として、常に自分の考えていることを相手に伝えることをとても大切にしている、ということが挙げられます。彼らは、相手に対して自分の思いを正直に伝えることは相手に対しリスペクトを示すことであると考えますし、例えそれが相手の非難に繋がることであっても、その指摘が相手にとって有益なことになると考えます。僕は以前オランダ人の友達にオランダ料理をご馳走してもらいましたが、ある料理が口に合わなかったにもかかわらず、相手を気遣ったつもりで美味しいと言ったら、なぜ本当のことを言わないのかととても責められました。そのような体験を通して、自分もオランダ人の考えに共感することも多々あり、自分の価値観が広がっているなと日々感じつつあります。
Q5. 充実した留学生活をおくられていますね、オランダ・ヨーロッパ留学ならではの楽しみ、普段の気分転換では何をされていますか?
オランダを含め、ヨーロッパ留学の大きな魅力は、EU圏内での旅行が気軽にできるという点であり、僕の留学先での一つの大きな楽しみでもあります。ヨーロッパはアジアに比べ、LCC(格安航空)や国際バスが非常に発達しているため、それらとゲストハウスなどをうまく利用すればとても安く旅をすることができます。また留学先での友達も他のEU諸国から来ている人が多いため、その友達の家を訪ねていくこともあります。 旅行は、ベルギー・デンマーク・ドイツ・オーストリア・チェコ・スペインを回りましたが、中でもスペインは食べ物も美味しく、人も陽気な感じで本当に旅をしていて楽しい国でした。現在は、スペイン語も勉強しているので、英語がほとんど話されていないスペインに行って現地の人とコミュニケーションをとることは、会話練習にもなり非常に良い経験ができました。普段は気分転換として、所属するチームでオランダ人ともにサッカーをしています。体格面では少しきつい部分がありますが、チーム内で話し合いを重ねながら練習をしていくのはとても面白く、オランダ人と交流をするという点でも良い経験になってると思います。
【編集後記】
今週のJGSWeeklyはいかがでしたでしょうか。自分の選択が今後どのような成果をもたらすのか、その選択による新たなつながり、将来があると考えるとわくわくしますね!帰国後は日本人の視点から考えたEUの体制、またアジアとEUの比較などを研究し、強みを活かしていけるようにしたいと伺いました。山田さんご帰国後のご活躍がとても楽しみですね!
記事編集:加藤
*JGS Weekly は読者の方からの質問を受け付けております。JGSに対するご意見はもちろん、インタビュイーの方へのご質問もお受けします。 既にバックナンバーについてもご質問を頂いておりますので、回答を受け次第公開していきます。ご質問は以下まで